江戸時代後期に建てられた商家です。主屋の正面はつし2階の塗り込めの軒裏と虫籠(むしこ)窓、出格子窓、正面中央の摺り揚げ大戸の出入り口装置やバッタリ床几(しょうぎ)、揚見世(あげみせ)など、建設当初の店構えを残していることから、平成13年に兵庫県指定文化財になりました。
 石橋家は、18世紀に猪名野神社の門前通り北少路村に移り住んで商売を始め、明治以降、紙と金物の小売業のかたわらに酒造業を始め、日用品の雑貨商を営んでいました。

 つい最近まで、この建物で住まいし商売もなされていました。当時の一般商家の有様を髣髴とさせる建物ではないかと思います。この建物は、猪名野神社の門前通りの入り口左側に現存したものを、解体・復元・移築したものです。
 石橋家もそうですが、猪名野神社の門前通りの商家の跡地を発掘すると、水禽窟(すいきんくつ)が多数発見されたそうです。石橋家にも茶室があり、繁盛を極めた郷町の旦那衆も商売の傍ら、風流をたしなんでおられたのではないかと想像を巡らしています。

 さらに、旧岡田家酒蔵の解体復元と併せ、これらの管理棟となる新町家を配して伊丹市立伊丹郷町館を構成し、(財)柿衞文庫、伊丹市立美術館、伊丹市立工芸センターとともに、平成13年(2001)6月に「みやのまえ文化の郷(さと)」として一般公開されています。



場所のご案内


・開館時間:午前10時〜午後6時
・入場無料(ただし、伊丹市立美術館・柿衞文庫は有料)
・毎週月曜休館(月曜が祝日のときは翌日休館)・12/29〜1/3休館

私のお薦めポイント

表から見る2階は、虫蘢窓で商家の堅実なたたずまいを見せています。

 裏から見る1階の座敷や2階は落ち着いた風情で、奥に広がる庭や蔵が見渡せるさまを想像しています。

 時には客人を招き、茶室で、あるいは庭を愛でながら、風流もたしなんだことでしょう。



(このページは、2001/7に伊丹市広報番組「伊丹だより」の撮影と同時進行で制作しました。)




 摺り揚げ大戸というカラクリがあります。

 1階店の大戸を店の中から持ち上げると、摺り揚がり、2階に繋がった綱の先にオモリがあり、そのバランスで一人でも軽々と持ち上げることが出来る仕掛けです。

 ここにも、先人の知恵が見えます。



復元された「旧石橋家住宅」平面図(1階部分)



(2階部分)



店舗

桁行15.7575m、梁間10.8638m、二階建、切妻大壁造、本瓦葺。
正面庇桟瓦葺、背面庇桟瓦葺。


店の表
入口



店の表
西側



店の表
東側


店の表
東側
(バッタリ床机(しょうぎ))


2階部分
西側


2階部分
東側


裏側、庭園より


裏側2階部分
西側



裏側2階部分
東側


裏縁側
座敷側



裏縁側
台所側


店部分
西側から見る



土間から中の間、仏間を見る



台所
土間から見る



台所
中の間から見る



台所
階段部分



仏間



店の間



座敷



座敷
床の間、違い棚



2階・座敷



2階・茶室



2階・階段部屋
(1階台所部屋に通ずる)



店上2階・店からの階段



店上2階(展示室)
西側



店上2階
大戸摺り揚げ部分



土間
(休憩コーナー)



沓脱石
伝伊丹廃寺礎石
(引用文献:地域研究「いたみ」第33号)



参考にした資料:
伊丹市教育委員会・(財)文化財建造物保存技術協会「旧石橋家住宅」資料
旧石橋家住宅展示資料
安達文昭さん(郷土史研究家)にお聞きした話
など。

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